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子宮内膜症とは?

2021.03.30

子宮内膜組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し発育する疾患が子宮内膜症です。

20~30代の女性で発症することが多く、そのピークは30~34歳にあるといわれています。

子宮内膜症は女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖し、月経時の血液が排出されずにプールされたり、周囲の組織と癒着をおこしてさまざまな痛みをもたらしたりします。

また、不妊症の原因にもなります。

 

子宮内膜症ができやすい場所として、卵巣・子宮と直腸の間のくぼみ・子宮を後ろから支える靭帯・卵管・子宮と膀胱の間のくぼみなどがあげられます。稀ではありますが肺や腸にもできることがあります。

 

代表的な症状は「痛み」「不妊」です。

痛みの中でも月経痛は子宮内膜症の約90%にみられます。この他、月経時以外にも腰痛や下腹痛・排便痛・性交痛などがみられます。

こうした症状は20~30歳代の女性に多く発症し、加齢による女性ホルモン分泌の減少を境におさまります。また、妊娠を希望する生殖年齢の女性では「不妊」が問題となります。妊娠の希望のある内膜症患者さんの約30%に不妊があると考えられています。

 

治療法は、大きく分けて薬による治療と手術による治療があり、症状の種類や重症度はもちろん、年齢、妊娠の希望などを総合的に判断して最適な治療法を選択していきます。

痛みに対してはまず、鎮痛剤を使用します。効果が得られない時はホルモン量の少ないピルを用います。黄体ホルモン剤などが用いられることもあり、女性ホルモンの分泌を抑えたり直接病巣に作用させたりして症状を緩和させます。

卵巣の内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)などの病巣部がはっきりしている場合は、手術を考慮します。妊娠を望んでいる場合は、病巣部のみを切除して子宮や卵巣の正常部分を残す手術を選択します。妊娠を望まない場合には、病巣のみの摘出に加えて、子宮、卵巣および卵管などを摘出することもあります。

子宮内膜症は、どの治療法を選択しても将来的に再発する頻度が高いことや、卵巣の子宮内膜症性のう胞は長い年月を経ると稀ではありますが癌化することなどから、長期にわたる経過観察が必要です。

 

《釧路市 産婦人科 くしろレディースクリニック》

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